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帰山 参番 純米吟醸生酒

 第49回目。
 人を選びますが、好きな人は本当に好きな酒だと思います。

 ……データを見ながら色々と考えるのは楽しいなぁ。

(飲み始め:2008年07月31日)

 長野県の酒です。
 「帰山(きざん)参番 純米吟醸生酒」

 この酒造会社のホームページ上では、以下のような意気込みが語られています。
 「淡麗辛口酒と対極の酒質を備えた、甘酸調和・濃醇旨口純米酒」
 「10人の内1人でも「これでなければ」と言われるような個性の光る地酒として存在したい」
 と言う訳で、今回は飲む前にデータを出しておきましょうか。

データ――
 アルコール分 15度以上16度未満
 日本酒度 -15.0
 酸度 3.1
 原材料名 米、米麹
 使用米 美山錦
 精米歩合 55%
 酵母 非公開
 製造年月 08.06
 千曲錦酒造(株)

 ……注目すべきは日本酒度と酸度。平成18年度全国新酒鑑評会出品酒の平均日本酒度が+3.6、酸度が1.3であることから考えると異常な値ですね。
 (注:日本酒度とは水を±0とした値で、日本酒の比重を示すもの。+で水より軽く、-で重くなる。一般的に日本酒度が-の酒は糖分が多く含まれるので、甘口であると言われている)

 昭和40年頃に市販されていた普通酒は日本酒度-7.0、酸度2.0ぐらいだったようですが、これは糖分や調味料を添加した三増酒がメインだったので比較対象としては微妙です。
 実際に糖分を加えていただけあってベタベタとして甘かったらしいですし。

 なので比較するために、さらに時代をさかのぼります――
 昭和13年の品評会出品酒!日本酒度は-10.5、酸度は2.2。
 清酒の原料としてアルコールの使用が認められたのは昭和17年ですから、この値は純米酒としての物となります。
 しかもこの酒は酸度の高さや糖分の少なさによって決して甘口の酒ではなかったとのこと。
 酒の比重を高めるエキス分の内訳は、三増酒と違って大半が糖分ではありませんからね~
 つまり――その当時から既に日本酒度だけが甘辛の決め手ではなかった、と言うことですね。
 では当時のデータを上回る、異常とも思えるデータのこの酒の味とはいかがな物でしょう?

 ――

 おお……香りからして重厚感が(笑)
 濃い酒の香りに蜜のような甘い香り、そこに渋皮のような香りがわずかに……
 これは面白いですね~

 酸味が口内を駆け巡ります。舌全体、口全体、喉……
 酸味が強いなー……甘味はそれほど感じず、舌の先で感じる程度。
 この酸味は何由来だろう?酢酸やクエン酸ではないな……乳酸に、コハク酸?リンゴ酸?
 こういう時には舌の経験不足が恨めしいですね。
 (2010年10月04日追記:今から想像してみると、乳酸メインでリンゴ酸+他諸々とかでしょうか?いつかもう一度飲んでみなければ!……しかし、現在でも正確に答える自信はありません、むむむ)
 そして――渋味や苦味が舌の奥と喉で自己主張。酸味と合わさり結構ツンケンしています。
 何だろう?例えるなら、花を観賞するための植物の実を食べた感じ?
 観賞用じゃなくて、食用の実は別に売ってますよー、みたいな。
 ……ソメイヨシノの実とか。……言い過ぎか(笑)

 酸味と渋味が干渉し過ぎるので、基本的に食べ物には合いません。
 甘味の強いつまみ系の物や、甘い食べ物にはまだマシ?……いや渋過ぎて駄目かな。

 むはー、この酒はあまり量を飲めませんね!
 個性的な酒は好きですが、これは少々やり過ぎな気もします(笑)
 でも好きな人は好きだと思います。私も嫌いと言う訳ではありませんし。

 変化……?今のところ想像も出来ません……
 しかし面白い酒でした!


2008年08月01日追記――
 香りは全く変わらず。味も……変化していない?
 相変わらず酸味と渋味が強い感じです。

 燗してみる。
 ぬる燗……お、これは意外に旨い。
 甘味がハッキリとして、ホットワインでも飲んでいるかのよう。
 熱燗。酸味がツンケンしますが、まあアリかな?

 一番バランス良く感じたのはぬる燗の少し温度高めぐらいでしょうか。
 その温度だと渋味も弱く感じます。食べ物にはやはり合いませんが。
 む、甘い食べ物にはイケる、ような?うん、少しは。

 久々に燗付けの有用性を実感しました~
 ……次は、ちょっと置くべきか。


2008年08月06日追記――
 相変わらず濃い香りですねー

 味は……む?前よりスッキリしたような。
 やはり酸味は強めですが、以前に感じたトゲトゲしさはほとんど無く、渋味も大幅に減少。
 そして飲み込む瞬間には渋味よりも、むしろ甘味を感じるように。
 おお、ずいぶんと飲みやすくなりましたねー
 全体的にかなり丸く、柔らかくなりました。
 うん、この味は結構好きです。
 ……ただ開栓直後の味が好きな人には物足りないかもしれませんねー
 いや、それも含めて愛してこそのヘビーユーザーか(笑)

 うーん、こういう変化、たまりませんね……
 非常に個性的で面白い酒でした。


887534281_191.jpg tag : 純米吟醸 千曲錦酒造

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